2005 Fiscal Year Annual Research Report
1950年代におけるアメリカ合衆国の対中東政策の研究
Project/Area Number |
16720175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野澤 透 京都大学, 文学研究科, 助教授 (90271832)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 中東 / 外交史 |
Research Abstract |
昨年度末に研究論文が発表されたことなどから,今年度中に出版された業績はないが,「アメリカ合衆国と中東:パクス・アメリカーナの蜃気楼」(五十嵐武士編著『アメリカ合衆国と21世紀の世界』昭和堂),および本研究課題と間接的に関係する「湾岸戦争と反米イスラーム主義の高まり」(岩波書店刊『原典アメリカ史』)が,近く出版予定である。 平成18年度中に出版予定のものとして,"The United States and the Iraqi Revolution of 1958"を作成中である。同論文は,分析対象として第二期アイゼンハワー政権のほぼ全期間を扱い,1957年夏のシリア危機からイラク革命に始まる1958年の中東動乱にいたる約1年間の間に,合衆国の中東政策および米・中東関係全般が大きな変質を遂げたことを実証する。これは,1956年のスエズ危機を中東現代史における最大の分水嶺と見る通説に大きな修正を迫ることをめざすものである。 一方で,冷戦初期の合衆国の中東政策のひとつの着地点として,ケネディ政権を視野に入れる必要性が,研究過程で明らかになってきた。上述の1958年の政策転換の歴史的位置づけは,次期政権の中東政策との関連を明らかにすることなしには確定できないからである。現在,ケネディ政権期の史料の分析を並行して進めており,その最初の成果は「ケネディ政権とイラン(仮題)」として平成18年度中に完成予定である。
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