2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720187
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉田 広 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (30263057)
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Keywords | 弥生青銅器 / 武器形青銅器 / 埋納状態 |
Research Abstract |
本研究は、弥生青銅器に残された埋没時の痕跡である「青銅器の状態」の資料化・再評価によって、青銅器の埋没状態、つまりは「埋納」状態の復元を行おうとするものである。具体的には、錆の状態であるとか付着物の状況、あるいは鍬傷といったものを、実測図とともに、デジタル画像情報を用いることによって検討しようとしている。 本年度は、昨年度十分実施できなかった資料調査についてかなり実施することができた。その中から、福岡県筑紫野市隈・西小田出土中細形銅戈23口(筑紫野市歴史博物館蔵)と、愛媛県松山市一万出土平形銅剣10口(東京国立博物館)について、良好な見通しを得ることができた。すなわち、両資料群とも埋没状態を示す痕跡が顕著で、まず直接青銅器同士が触れあっていた痕跡を抽出することに成功し、資料群内の部分的復元は既に果たしている。これに特徴的な錆の状態や欠損状況などの検討を加味することによって、資料群全体の埋納状態復元に近づけるものと考えている。従前の手作業による実測と、デジタル画像の検討を平行して進めており、両者の補完的作用によって、埋納状況復元の有効な方法提示が行えると予想している。 来年度は、両資料群を中心になお具体的資料調査を進める。そして、以下の内容で、成果報告をまとめる予定である。すなわち、(1)両資料群の詳細資料提示を行い、埋納状態の復元案提示を、根拠を明示しながら行う。(2)さらに、今回の復元案作成に基づき得られた埋納状態復元の指標についてまとめ、他資料への応用・普遍化について考察を行う、である。
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