2005 Fiscal Year Annual Research Report
隊商都市パルミラの彫像の指輪からみた古代ローマ文化の受容についての研究
Project/Area Number |
16720190
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
大城 道則 駒澤大学, 文学部, 講師 (00365529)
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Keywords | パルミラ / オアシス / 文化 / 古代ローマ / エジプト / 指輪 / 彫像 / 装身具 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 1、昨年度に引き続き、現地シリア・アラブ共和国のパルミラにおける現地調査を7月21日から8月21日にかけて行った。特に東南墓地において第186号墓と名付けられている家屋型墓に注目し、そこに付属している複数の彫像について細部確認作業を行った。第二次世界大戦中にフランス軍によって基地として転用されていたことから、彫像には著しい破損が見られたが、彫像付属の指輪に関する数列の確認が取れた。 2、当初からパルミラ博物館に所蔵されている全彫像を研究対象と考えていたが、パルミラ博物館は数年前から大幅な改修を行い、今年度にようやく再開されたこともあり、倉庫内に保存されている全ての彫像の確認は困難となっている。そこで日本の橿原考古学研究所が1990年代から現在まで継続して行っているパルミラ東南墓地における調査の際に発見された事例を中心に彫像に彫り込まれた指輪の統計的分類を行った。この調査結果を利用する最大の利点は、彫像の元位置が確認されていることと、研究代表者本人が調査に参加していることにある。 3、また関連地域として同じく古代ローマ文化の影響を色濃く受けているエジプトの西方砂漠にあるカルガ・オアシスを比較対象とするため現地調査に参加した。パルミラと同じく砂漠の中のオアシス都市という環境的に非常に類似したカルガ・オアシスにおける今後の調査から、異文化の浸透過程についてのさらなる情報を得ることが可能となると考えている。 以上を踏まえ、来年度はこれまでに収集した資料をまとめ、論考として出版するのみならず、さらに東地中海世界へと拡大を続けた古代ローマ文化についてエジプトまで視野に入れ考察を続行する予定である。
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