2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720192
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (50321542)
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Keywords | 経塚 / 中世墓 / 近世墓 / 墓層信仰 / 地域信仰 / 宗教空間 / 石塔 / 惣墓 |
Research Abstract |
経塚・墓地・寺社は中・近世の地域史、宗教史に考古学的にアプローチするために不可欠な資料である。しかし、これまでは個々に検討されてきたため、また文献史学が優勢なテーマであったため、考古学からのこの分野に対する研究は停滞しているのが現状である。しかし、近年急激に蓄積されてきた膨大な発掘調査データにより、現在はこの方面からの研究が可能となってきている。 平成17年度は、基礎作業として、国立歴史民俗博物館考古資料の情報集成的研究(経塚データベース)で集積されたデータの整理を前年度に引き続いておこなうとともに、資料の補足、追跡調査をおこなった。図面化されていない経塚資料についても、実測図をつくり、資料化を図っている。これは来年度も継続する。 現地調査としては、山形県、静岡県、山口県を中心におこなった。静岡県の伊豆地域は伊豆山神社をはじめ多くの信仰遺跡があり、経塚も多い。経塚を単独ではなく信仰遺跡の一要素として位置付けるには格好のフィールドである。また、牧之原市堂ヶ谷遺跡は、現在発掘調査中の山岳寺院遺跡であるが、寺院の背後に経塚が存在した。さらに山際には同時期の墓地もあり、経塚・墓地・寺社が複合的に形成している典型的な遺跡である。これらの遺跡は、その形成過程を細かく追うことにより、考古学的に地域の信仰をトレースする資料となる。今後も踏査を続けることにより、こういったケースの経塚を見つけ、モデルを構築していくこととする。
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