2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720192
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (50321542)
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Keywords | 経塚 / 中世墓 / 近世墓 / 基層信仰 / 地域信仰 / 宗教空間 / 石塔 / 惣墓 |
Research Abstract |
経塚・墓地・寺社は中・近世の地域史、宗教史に考古学的にアプローチするためには不可欠な資料である。しかし、これまでは個々に検討されてきたため、また文献史学が優勢なテーマであったため、考古学からのこの分野に対する研究は停滞しているのが現状である。しかし、近年急激に蓄積されてきた膨大な発掘調査データにより、現在はこの方面からの研究が可能となってきている。 平成18年度は、国立歴史民俗博物館考古資料の情報集成的研究(経塚データベース)で集積されたデータの整理を前年度に引き続いておこなうとともに、資料の補足、追跡調査をおこなった。図面化されていない経塚資料についても、実測図をつくり、資料化を図っている。それらの成果の一部は投稿中の論文に反映している。また、昨年度に引き続き鏡の資料整理を重点的におこなった。経塚からは紀年銘のわかる鏡が出土するほか、墓地からは年代の押さえられる陶磁器と伴に鏡が出土することがある。これらをもとに鏡の編年を組み直すことは基礎研究として重要と考えるからである。その一端は「和鏡」で発表した。 現地調査としては、東北や関東、東海の経塚・石塔を中心におこなった。経塚は単独の遺跡として捉えられがちである。しかし、周辺に展開する墓地や寺院、石塔との関連をみることにより、霊地としての宗教空間を総合的に理解できる。地域によってパターンは異なるものの、複数のモデルケースを構築できたので、近日中に論文にまとめる予定である。
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