Research Abstract |
本研究の目的は,(1)北海道東部太平洋沿岸域において,先史・歴史時代に発生した異常な巨大地震津波について調査研究すること,(2)津波堆積物の分布や層序,年代を明らかにし,遺跡の年代と照らし合わせ,さらに,遺跡の分布範囲と津波堆積物の分布域との関係も検証するなどして,古地震津波と当時の人々との関係をさぐるものである. 平成17年度の研究実勢の概要は以下のとおりである. (1)北海道東部太平洋沿岸域の根室市太平洋沿岸域南部沼において,先史・歴史時代の巨大地震津波の痕跡,すなわち「津波堆積物」について地質調査を実施.同地域における過去5000年間の異常な巨大地震津波痕跡の存在を確認し,それらの分布範囲を明らかにした.また,同地域における縄文時代以降の遺跡の分布範囲との比較を行った. (2)根室市別当賀,同市ガッカラ浜においても,上記(1)と同様な調査を実施し,同地域における過去5000年間の異常な巨大地震津波痕跡の存在を確認し,それらの分布範囲を明らかにした. (3)北海道東部太平洋沿岸域の釧路市春採湖の湖底堆積物を分析し,先史・歴史時代において重要な生活の場であった湖の水質が,巨大地震津波の侵入によって劇的に変化していたことおよび同湖の過去1万年間の古環境を示すデータを得た. (4)既存論文を用いて,十勝〜根室における先史・歴史時代の津波堆積物の分布範囲と各時代の遺跡の分布範囲との比較を行った.また,考古分野や民族分野の研究者から,関連情報を収集した. これらによって得られたデータは,学会および学術印刷物等において発表すべく,追加調査や分析項目を増やし,現在準備を進めているところである.
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