2004 Fiscal Year Annual Research Report
1990年代以降のわが国人口の都心回帰現象と行政対応に関する研究
Project/Area Number |
16720197
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10312547)
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Keywords | 都心回帰 / 居住分化 / 国勢調査報告 / GIS / 東京 |
Research Abstract |
本研究は、東京の都心部を事例地域に、近年の都心人口の回復現象(都心回帰現象)に関して(1)都心の人口構成の変化、(2)人口構成の変化に伴う公共サービスや対人社会サービスに対する需要の変化と行政対応、(3)それら行政需要への対応が自治体財政に及ぼす影響、の3点に関して実態を明らかにすることを課題とする。平成16年度は、上記の課題(1)を中心に、GIS支援により1990年代後半の東京区部における人口回復現象に関して以下の分析を行った。 都心部における人口増加町丁の特性:町丁目のスケールで、1990年代後半の人口増減と土地利用の変化、交通網整備による近接性の変化、地価の変動との関係を明らかにした。 人口増加地区における人口構成の変化:国勢調査の小地域集計結果の分析を通じて、人口増加町丁における人口構成の変化を、年齢、居住する住宅、社会経済的属性に注目して明らかにした。 以上の分析の結果からは、1990年代後半の東京都心部ではその南東から南西にかけて人口回復が著しいが、アフォーダビリティ(取得容易性)に関して多様な条件の住宅が供給されたため、特定の住民のみが都心居住を可能にしたわけではないことが示唆された。人口増加町丁における人口構成の変化をみても、人口回復に寄与した住民は、特定の町丁に対して選択的に転入した中にも、家族構成と社会階層に応じて居住地・住宅を分化させていると考えられる。その結果として、都心部の居住地構造にミクロスケールの量的・質的変化が生じており、短期間のうちにその異質性が高まったと結論づけられる。この異質性の高まりは都市社会の再編成をもたらすものと予想され、特に人口の急激な量的・質的変化は公共サービス・対人社会サービスの需要に急変をもたらすであろう。
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