2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720205
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
土平 博 奈良大学, 文学部, 講師 (70278878)
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Keywords | 陣屋町 / 近世 / 藩領 |
Research Abstract |
既往の研究においては、近世の「陣屋」は「城」と明確な違いによって位置づけられてこなかった傾向がある。したがって、城下町論のなかでは、陣屋とその集落が「陣屋町」や「小城下町」として扱われてきた。それは「陣屋」という語が、さまざまなものに対して使用されてきたことによる。多様な「陣屋」を整理する必要があり、これまでその分類を試みようと取り組んできた。本研究は歴史地理学的な手法によってこの問題に取り組んでいる。 本研究は平成16年度の引き続き2年目にあたる。同16年度に取り上げることのできなかった陣屋を対象にして、事例を追加していった。その結果、福島県、宮城県南部に分布した多くの陣屋を対象とすることができた。この地域に分布する陣屋は、城に代用される小藩の「陣屋」ではなく、幕府代官による支配、藩の飛地領支配、旗本領支配のために置かれたものが多い。それゆえ規模や形態もさまざまである。 本年度は「陣屋」とそれに付帯する集落との関係について焦点を絞り、個別に検討した。集落と陣屋の位置をみていくと、その集落形態は個々に異なるといえよう。しかし、それらはいくつかのタイプに分類できる。そのタイプについて平成18年度内に精査することを考えている。タイプが異なる要因は、地形条件、陣屋の規模、集落の計画性(新・旧)、支配領域、交通が絡むとみられるが、その要因の詳細な検討もこれからの課題である。また、本研究以前に対象としてきた畿内の陣屋町との比較なども含めて考えねばならない。
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