2004 Fiscal Year Annual Research Report
中央アフリカ熱帯森林における儀礼と精神文化に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
16720209
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
都留 泰作 富山大学, 人文学部, 助教授 (10345548)
|
Keywords | カメルーン共和国 / 現地調査 / 儀礼 / 映像資料 / 身体行為 / 民俗誌映像 |
Research Abstract |
本年度は、8月19日から9月27日まで、アフリカ、カメルーン共和国で現地調査を実施し、その成果をまとめる作業に入った。 カメルーン共和国では、東部州の熱帯森林地域に居住するバカの人びとを対象に、主として儀礼実践に関わる情報収集を行うとともに、映像・音声による資料の収集を行った。森に住むと考えられている精霊のための儀礼、「エンボアンボア」や「アバレ」などの儀礼の進行過程に関する映像資料を、ビデオカメラの形で蓄積した。また、これらの精霊に関わる儀礼とは別に、葬儀に参列する機会を得、その一部始終を映像に収め、重要な資料を得ることができた。呪術医による託宣・治療儀礼である「ンガンガ」に関しては、呪医と目されている複数の男女を対象に聞き取り調査を行い、主としてライフヒストリーを収集した。すなわち、彼らがどのように呪術医となり、地域のどのような問題に対応してきたか、どのように彼らが人々に受け入れられているのか、を明らかにした。サンプル数がまだ不足しているので、明確な結論を得ることは難しい段階だが、この作業を通じて、当該地域のバカ社会において、ンガンガ信仰がどのように浸透しているか、大まかな見取り図を得ることができた。 帰国後は、蓄積した資料を整理するとともに、蓄積した映像資料を整理し、民俗誌映像としてまとめる編集作業を行った。また、歌や踊りなど、儀礼の中で実践される身体行為に関する行動学的な分析も進めた。 また、著書『アフリカ自然学』(水野一晴(編)、2005年、古今書院)の執筆に参加し、「夢のなかの動物たち:カメルーン、バカ・ピグミーの森の世界」(pp.171-182)として発表した。これは、バカの人びとが夜見る夢に関する聞き取り資料を基に、彼らが自然界に向ける独特の感覚のあり方を抽出し、まとめたものである。この中で、バカの人びとの動物観、自然観さらには宗教観を明らかにした。
|