2004 Fiscal Year Annual Research Report
英国の文化遺産産業における「自文化」表象に関する人類学的研究
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16720217
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
塩路 有子 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (70351674)
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Keywords | ヴィクトリア・アルバート博物館 / ブリティッシュ・ギャラリーズ / アーツ・アンド・クラフツ運動 / チェルトナム・アート・ギャラリー博物館 / チッピング・カムデン / コッツウォルズ地域 / 自文化表像 / 文化遺産産業 |
Research Abstract |
2004年8月に15日間、英国にて現地調査を行った。国レベルでは、ロンドンのヴィクトリア・アルバート(以下V&A)博物館の常設展示「ブリティッシュ・ギャラリーズ」を観察・記録し、同展示の製作過程に携わった学芸員1名に聞き取り調査を行った。地方レベルでは、コッツウォルズ地域のチェルトナム・アート・ギャラリー博物館を観察・記録し、学芸員2名に聞き取り調査を行った。町レベルでは、チッピング・カムデンの博物館創設に向けて住民やトラスト員数名から聞き取り調査を行った。結果、ロンドンの博物館での学芸員への聞き取りについては、組織の規模の大きさと今後も調査時期と博物館スタッフの休暇時期が重なるため、V&A博物館のみに焦点をしぼって調査することにした。また、7月には、「ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ」という展覧会が日本で開催され、本研究の町レベルでの調査地の取り組みに関する論考を執筆した(研究発表)。 2004年11月に『ブリティッシュ・ギャラリーズをつくる』という書物がV&A博物館より出版されたため、関わった人々の大まかな組織図を把握することができた。そこで、2005年3月に2週間、V&A博物館の学芸員への聞き取り補充調査を行った。中枢メンバーだった学芸員を含む4名に聞き取り調査を行った。V&A博物館で2005年3月末から7月末まで開催される特別展「アーツ・アンド・クラフツ」についての聞き取り調査はスタッフの都合で不可能で、実際の展示が観察可能かは時期的に不明なので、同特別展については今後調査項目とするか検討する。一方で、コミュニティ・レベルでは、博物館創設にむけての展示製作上、重要な人物として、グラスゴー在住の展示デザイナーとチッピング・カムデン在住の建築家、さらに展示のストーリーを作成したロンドン在住の美術史学者(同トラスト員)、また、同トラストの議長でもあり、プロジェクトの経済的側面を任されているカムデン住民に聞き取り調査を行った。今後は、本年度の2回の調査結果の分析を進め、次回調査ではV&A博物館の若手の学芸員から聞き取り調査を中心に行う予定である。
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Research Products
(1 results)