2004 Fiscal Year Annual Research Report
医療保険を手がかりとした、公私協働型行政と民主政の研究
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16730012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 匡彦 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (80251437)
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Keywords | 行政法 / 社会保障法 / 医療保険 / ドイツ法 |
Research Abstract |
今年度は、当初の予定通り、ドイツの医療保険制度の基本構造を、その医療給付として行われる給付水準の決定ならびに費用(報酬)支払のあり方の決定を、その決定の性質のみならず、決定方法に注意する形で把握することを中心的課題とした。また、そこにおいては、関係者団体による利益調整を受け入れる形で規範化する際の手続と問題点を具体的に把握するようにつとめた。また、行政法一般理論との関係で、その中で行政の決定を行政法の視点から捉える際のもっとも古典的な法概念である行政行為を改めて研究する必要が生じ、この研究も行った。 この過程において、2004年7月末から8月下旬までと、2005年3月中旬から下旬にかけてドイツ(主としてハイデルベルク大学)で在外研究と資料調査を行った。また、2004年10月には日本公法学会(於・北海道大学)で行政行為に関する報告を行ったほか、2005年2月に二つの研究会--それぞれ別の科研費等の補助金に基づく研究会--で、ドイツの医療保険制度の概要と最近ドイツ憲法裁判所とヨーロッパ裁判所それぞれの判決により、その適法性--合憲性及びヨーロッパ法上の適法性--に関して一応の決着を見た、(薬価)定額設定(Festbetragsfestsetzung)制度に関する分析検討と、それをふまえた日本法との比較を試みる報告を行った。来期は、これまでの検討をもとにいくつかの論文を執筆したいと考えている。
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