2004 Fiscal Year Annual Research Report
国会議員の身分の憲法的保障のあり方と現代議会制-日仏の議員特権の比較憲法的考察-
Project/Area Number |
16730017
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
新井 誠 釧路公立大学, 経済学部, 助教授 (20336415)
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Keywords | 議会制 / 議員特権 / 免責特権 / 不逮捕特権 / 議員の身分保障 / フランス憲法 |
Research Abstract |
本研究課題に関して、本年度は次のような研究を行った。 第1に、フランスにおける議員の不逮捕特権に関する文献資料を調査・収集し、それを読み進め、その歴史的・理論的・比較法的意味を考えた。その結果、フランスにおける議員の不逮捕特権が、議員の身分保障として強く認められ、独自の発展を遂げてきた反面、現代に至り、その特権の不合理性が如実に表面化し、1995年の憲法改正での不逮捕特権の限定化にも繋がったことについてより詳しく知ることができた。こうした検証もあわせ、「議院」の特権を機軸とするであろうイギリスの議員特権と「議員」の身分保障を機軸とするであろうフランス議員特権との違いを若干知ることができた。現代における議員特権の理解にとってフランスでのこうした経験もまた重視されるべきであろう。この研究は現在も進行中であり、ある程度形になったところで、研究論文を公表する予定である。 第2に、当初の計画にもあったように、日仏比較研究にその他の国の議員特権を参照するため、特にアメリカにおける議員免責特権に関する資料収集を行った。日仏研究の中にこうした別の外国での議論を加えるという研究を行うことで、議員免責特権における免除される「責任」の意味について、おおよそ2種類の考え方が成り立つことを提示することができ、日本における憲法解釈を行う上での参考となった。特にこれについては、とりわけ議員による議院内での名誉殿損的発言等について、その被害者が何らかの補償や賠償を受けることが可能か否かといった議論を行う上で意味を持つといえる。こうした視点を含めた、議員免責特権と国家補償の関係に関する論文をすでに作成し、現在、発表準備中である。
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