2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16730019
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Research Institution | Seiwa University |
Principal Investigator |
森尾 成之 清和大学, 法学部, 専任講師 (90365007)
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Keywords | 執行の欠陥 / 自主的なコンプライアンス態勢 / 内部通報と外部通報 / 通報者の実効的な保護 / 通報報奨金 / リニーエンシー・プログラム |
Research Abstract |
本年度は、わが国における公益通報の現状と課題について調査・研究を行った。成果としては、大きく次の二点に分けられる。 第一点としては、今般、制定された公益通報者保護法の評価に関するものである。同法は、企業等による自主的なコンプライアンス態勢の整備を促すことを主眼として制定されているが、以下の諸点において検討を要す。(1)通報者が組織内部に通報するか、外部に通報するかという通報先の選択のさいに、当該組織が、どの程度コンプライアンス態勢を整備しているかといった点に全く配慮がなされず、どのような企業も一律に通報の要件が定められていること。(2)保護の内容が実効性のあるものになっていないこと。具体的には報奨金制度、一度不正に関わったのち悔い改めた通報者・企業への制裁の減免といった制度が全く未整備であることなどがあげられる。また、(3)外国法に依拠しすぎない制度設計が検討されるべきである。 第二に、自治体における通報者保護制度設計に関するものである。コンプライアンス態勢の整備の一環として、先駆的な自治体においては、業務改善ヘルプラインや職務への外部からの働きかけ対策などという形で定められているようである。公益通報条例として制定しているところは少ない。またヘルプラインなども含め、利用件数が少なく、実効性のある仕組みの検討に入っている自治体もでてきている。自治体の制度設計においては、他の自治体の制度の模倣に終始せず、地域の実情に応じた実効的な制度設計が求められる。
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Research Products
(2 results)