2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荒島 千鶴 神戸大学, 国際協力研究科, 助手 (70362811)
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Keywords | 補完性の原則 / EC / EU / 地域委員会 |
Research Abstract |
1.研究方法 研究の成果は、平成16年5月29日に国際法研究会(於京都大学)において報告した。そこで得た有益な示唆も反映させて論文を執筆し、所属研究科の紀要『国際協力論集』にご掲載頂いた。 11月には、ベルギーのブリュッセルに本部を置くEUの地域委員会を訪問し、補完性の原則等を担当する部の部長へインタビューを行った。また、2つの政党グループの準備会合の傍聴後に、地域委員会の本会議を傍聴し、実務についての有益な情報を得ることができた。これらは2年目の研究に役立てたい。 2.研究によって得られた新たな知見 マーストリヒト条約で一般原則としてEC条約に挿入された補完性の原則は、EU条約の前文および第1条第2項に同原則とほぼ同義で使用されている「できる限り市民に開かれ、かつ近いところで決定が行われる」という表現からみても、EUと構成国間の権限分担の法則であるとする狭義の解釈では十分ではない。実際、たとえばある州の排他的権限に属する事項がEUによって決定される場合に、同決定過程に当該州が参加できないことは、代表民主制の観点から問題である。 このような問題意識をもとに、1993年10月に諮問機関として地域委員会が設置された。地域委員会は、EU諸機関により義務的にあるいは選択的に諮問を受けるほか、自身のイニシアティブで意見を述べる。これらの意見に対してEU諸機関は、義務的・選択的諮問の殆どには回答を出し、賛同できる点とできない点を明らかにしている。 地域委員会が義務的・選択的諮問に積極的に意見を出すことによって、その意見が欧州委員会法案により多く取り入れられるようになればなるほど、「市民に近い決定」を実現させ、ひいてはEUの民主的欠陥の減少の1方法となろう。なお、EU憲法条約草案で注目すべき点は、補完性の原則に関して、地域・地方レベルが言及されていることである。
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Research Products
(1 results)