2005 Fiscal Year Annual Research Report
執行方法の異なる外国において下された判決の承認執行についての比較法的研究
Project/Area Number |
16730025
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
釜谷 真史 西南学院大学, 法学部, 助教授 (30363302)
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Keywords | 外国判決の承認執行 / 離婚後の扶養 / 中国判決の承認執行 / 裁判と執行の分離 / 外国判決の取消・変更 / 外国判決に対する異議申立方法 / 民事執行法22条 / 民事執行法24条 |
Research Abstract |
本研究は、わが国とは強制執行方法の異なる実質法を持つ外国で下された判決の、わが国における承認執行(民訴法118条、民執法22条6号・24条)がいかに行われるべきか、諸外国実質法上の具体的執行方法の比較法的調査検討を通じて明らかにしようとするものである。本年度も、年度当初の研究実施計画に沿い、研究を遂行した。 (1)外国実質法の調査 本年度は、外国実質法(ドイツ、フランス、スイス、アメリカ)の具体的内容について、強制執行に対する異議をどのような手続で考慮するかという点に着目して調査を行った。この点についての各国実質法の差異は、債務名義と強制執行との関係の捉え方に起因するものであり、外国判決の考慮について承認と執行を区別して考える本研究に強い示唆を与えると期待されるからである。現在この作業を継続中であり、来年度前半でその成果をいったんまとめ、公表する予定である。 (2)国際私法上の理論枠組みの構築 本年度は、まず承認要件の中でも相互性要件(民訴法118条4号)で現在問題となっている中国との関係について、大阪高裁平成15年4月9日判決を素材に検討を加え、本判決が現在まで主流となっている「ゆるやかに相互性を認定する」基準とは異なる基準を採用していることを指摘した。その上で、強制執行方法の異なる実質法を持つ外国で下された判決のわが国における承認執行を可能とする理論枠組みについて、昨年度から継続して検討している。私見は、承認対象となる債務名義が私人間の権利実現に資するためのものであり公法的強制的要素の少ないものであるという点を重視するものであるが、近時公法的強制的要素の強いものであってもわが国で考慮する枠組みを唱える動きも強い(知的財産、会社合併など)ことから、かかる動きをにらみながら枠組み構築を行っているところである。
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