2006 Fiscal Year Annual Research Report
執行方法の異なる外国において下された判決の承認執行についての比較法的研究
Project/Area Number |
16730025
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
釜谷 真史 西南学院大学, 法学部, 助教授 (30363302)
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Keywords | 外国判決の承認執行 / 離婚後の扶養 / 中国判決の承認執行 / 裁判と執行の分離 / 外国判決の取消・変更 / 外国判決に対する異議申立方法 / 民事執行法22条 / 民事執行法24条 |
Research Abstract |
本研究は、わが国とは強制執行方法の異なる実質法を持つ外国で下された判決の、わが国における承認執行(民訴法118条、民執法22条6号・24条)がいかに行われるべきか、諸外国実質法上の具体的執行方法の比較法的調査検討を通じて明らかにしようとするものである。本年度も、年度当初の研究実施計画に沿い、以下の2点を柱として研究を遂行した。 (1)国際私法上の理論枠組みの構築 わが国と強制執行の異なる実質法を持つ外国で下された判決の、わが国における承認執行を可能とする理論的枠組みを、昨年度の研究成果をベースとしつつ構築を進めてきた。前年度までの成果から、承認対象となる債務名義とは、私人間の権利実現に資するためのものであり公法的強制的要素の少ないものであるという点を重視するものであるとの知見を得た。この点からは少なくとも、債務名義となる文書中に私人間の法律関係の権利創設・確認をなす文言が必要であるとの私見を有するにいたり、本年度中盤より、私見を論文にまとめる作業に入った。もっとも、近時公法的強制的要素の強いものであってもわが国で考慮する枠組みを唱える動きも強く(知的財産、会社合併など)、また研究年度途中に代理母をめぐり外国行政庁を名宛人とする外国判決のわが国における承認執行が問題となる判決が下されたこともあり、私見を見直し、より広く承認執行の可能性を模索する必要も感じており、現在私見の妥当性の再検討をも行いつつ執筆を進めているところである。 (2)外国実質法の調査 本年度は(1)と平行して、わが国と強制執行方法とは異なる外国実質法について、とくに本研究の契機となったアメリカ法、とりわけテキサス州法・ミネソタ州法に焦点を当て、資料を収集し、その内容の検討を行ってきた。(1)の作業が終わり次第、具体的処理方法についての検討に移り、論稿としてまとめることとしている。
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