2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730031
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
橋本 陽子 学習院大学, 法学部, 助教授 (00292805)
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Keywords | 労働者性 / 労働者概念 / 代理商 / 約款規制 / 契約の内容審査 / フランチャイズ / 特約店 |
Research Abstract |
平成16年度は、8月までドイツのゲッティンゲン大学で在外研究をする機会に恵まれたが、全部で2年間に及んだ留学生活のまとめとして、本研究課題に関するこれまでの研究成果をドイツ語でまとめた。その内容は、従属的自営業者の,典型例として挙げられる代理商(販売外交員)に関するドイツおよびEUの法規制を検討し、日本との比較を行なったものである。EUの代理商指令の原案となったドイツの詳細な代理商法制(商法典84条以下)は、代理商の保護のために多くの強行規定をおいているが、かかる商法典の法規制を制約しうるような契約条項(例えば、契約条件の変更留保条項又は一部解約条項は、契約終了時における代理商の補償金請求権(商法典89b条).を制約すると解されている)も、約款規制法(独立の商人である代理商には、著しく不当な契約条項を無効とする民法典307条のみが適用される)によって無効とされる。そして、商法典の規制は、代理商だけでなく、フランチャイジーおよび特約店にも類推適用されることが判例によって認められている。特約店の契約条項に対する内容審査も、積極的に行なわれている。わが国における代理商の法規制は商法制定当時のわずかな規制にとどまり、契約条項に対する裁判所の内容審査も消極的であるが、本稿では、わが国では、紛争があまり生じていないことから、代理商に当たる職業類型は、自営業者ではなく、労働者として雇用されているほうが多いのではないか、という仮説を提示したが、この点の実態を踏まえて、わが国の商業上の従属的就労者の社会的保講のあり方について、引き続き検討を行ないたい。
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