2005 Fiscal Year Annual Research Report
保険募集における情報提供規制と保険者の民事責任に関する研究
Project/Area Number |
16730043
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 道生 静岡大学, 大学院・法務研究科, 助教授 (60334950)
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Keywords | 保険約款 / 内容規制 / 不当条項 / 高度障害保険 / 責任開始期前発病 / 消費者契約法 / 透明性 / 約款規制 |
Research Abstract |
本年度においては、業績として「保険約款における給付記述条項の内容規制」(損害保険研究67巻2号53頁)を公表した。この論文は、ドイツにおける二つの不当条項規制の判断基準(「契約目的の危殆化」、「透明性の要請」)をわが国の保険約款の給付記述条項の内容規制のもとでも機能させていくことができるかについて情報提供規制との関わりもふまえつつ、わが国の判例における給付記述条項の内容規制の仕方や不明確条項の取扱いを素材に検討したものである。 まず、前者の基準は、約款中の給付記述条項に対応する任意規定を見出しがたい保険契約にとって適合的であり、保険契約において何をどのように給付するかという給付記述条項の内容は、契約目的に合った商品を選択しなければならない顧客にとってきわめて重要な意味をもつから、商品の内容が、一見すると顧客の需要を充足するようでいながら、他方でこれと矛盾して契約目的を危殆化する条項の存在が不当性判断の対象とされるべきことは、わが国の消費者契約法の立法化にあたっても本来、必要であったといえる。本稿は、このように、消費者契約法上、不当条項の内容規制の判断基準としては設けられていない契約目的の危殆化という基準を信義則上、わが国においても認めることで規制の実効性を図ることができるのではないかとの問題意識に依拠している。つぎに、後者は、保険者が保険約款の作成にあたってその明確さや理解のしやすさに配慮しなくてはならないことを要請するものであるが、これに関して、本稿では、従来、保険約款において不明確とされた給付記述条項について、情報提供規制と不当条項規制の相互関係を意識しながら議論を展開した。
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Research Products
(2 results)