2004 Fiscal Year Annual Research Report
民事紛争解決過程における,調整型手続と判断型手続の連続化に存する諸問題の研究
Project/Area Number |
16730044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 文 京都大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40230445)
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Keywords | 民事調停 / 専門的知見を要する訴訟 / 付調停 / ADR法 / 専門委員 / 訴訟上の和解 |
Research Abstract |
平成16年度は,調整型手続と裁断型手続の連続化の諸相のうち,主として,(1)既存の民事調停手続と判決手続との関係,(2)和解手続における専門委員の関与(民訴法92条の2第3項),及び,(3)平成16年に制定された「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)におけるADR手続と裁判手続との関係について,情報収集と基本的な分析を行なった。 (1)に関しては,専門的知見を要する紛争につき,付調停によって争点整理・調整型手続を実:施しようとする場合にあり得る問題点について,UNCITRAL商事調停モデル法との比較をも念頭に置きながら検討し,情報遮断の方策が必要であることが結論づけられた。この研究においては,実務家(裁判官)との対話が大変に有益であった。(2)については,これも専門的知見を要する訴訟事件について,専門委員が和解と和解不調後の判決手続の双方に関与することの問題性を析出することができた。とりわけ口本のように,交互面接方式によって和解勧試がなされる場合に,事前の当事者の合意のみで専門委員の関与を認めることについては,その後の心証形成への影響を考慮すると,問題があるように思われる。最後に(3)については,(1)と同様の問題性のほかに,そもそもADR当事者間がどのような法律関係にあるのかを考える必要性があることも明らかとなった。一般化すると,調整型・裁断型手続の連続性をコントロールする規律として,手続実施者(第三者)を名宛人とするのみならず,当事者間での手続契約との関係を考えるべきことが明らかとなったといえる。
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