2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730047
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上河内 千香子 琉球大学, 法科大学院, 助教授 (20325822)
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Keywords | 法定地上権制度 |
Research Abstract |
本年度は、本テーマを検討するための資料収集、分析等を行い、その成果を、「法定地上権制度に関する立法論的検討(一)(二)」という表題で、琉大法学72巻109頁以下、琉大法学73巻145頁以下に発表した。 右論文は、法定地上権制度の抱える問題点を明らかにした上で、従来提唱されてきた法定地上権制度の改廃に関する提案を検討する、という内容である。論文の主要部分は、(1)民法起草時における法定地上権制度についての理解、(2)法定地上権の成否に関する判例理論の問題点、(3)学説における法定地上権制度の評価及び改正提案、(4)各種立法時における法定地上権制度の理解、(4)検討、である。本論文の検討を通じて、法定地上権制度の抱える問題点としては、敷地利用権の内容が「地上権」であること、法定地上権の成否、さらには、成立する場合の法定地上権の内容が競売時に不明確なこと、関係者の意図を柔軟に敷地利用権の内容に反映させることができないこと、等が挙げられていることが分かった。これに対して、従来、法定地上権制度の改廃案として代表的なものとしては、自己借地権制度の導入、及び、370条を改正して、土地抵当権の効力を建物に及ぼす構成が挙げられる。しかし、これらの提案は、各々克服するべき課題を有している。例えば、前者の自己借地権制度については、濫用の危険性や、強制競売や公売の場合の対応、後者については、土地のみに抵当権を設定する必要性を完全に捨てきることができるか、という問題がある。それは、言い換えれば、両者とも、法定地上権制度と比較して、敷地利用権確保の守備範囲の狭さを表している。したがって、法定地上権制度を廃止して、これらの制度を導入するのであれば、この問題を克服することが不可欠である。本研究の結果、右のような結論に至った。
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Research Products
(2 results)