2004 Fiscal Year Annual Research Report
契約内容の調整と契約および契約環境の多様化に関する研究
Project/Area Number |
16730051
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
中村 肇 成城大学, 法学部, 助教授 (70324027)
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Keywords | 行為基礎論 / 事情変更法理 / 不公正条項 / 賃料減額請求 |
Research Abstract |
本年度は、契約内容の調整に関する総論的な課題として、近時の事情変更問題への取組に関して、2002年施行のドイツ債務法現代化法と近時の国際取引法規範について、近時の動向も踏まえ検討を加えた。改正ドイツ民法においても国際取引法規範においても、従来の不能論や不可抗力に基づく免責理論に加えて、事情変更法理に関する規定を定める傾向が認められる。事情変更法理をその機能から検討すると、契約内容の調整を行う機能と、その理論的前提として、当初の契約内容に基づく債務から当事者を解放する機能を有している。このような債務からの解放機能は事情変更法理を体系上どのように位置づけるか、という問題とも関連し、この点に関しては議論が認められる。さらに事情変更法理を顧慮する場面において、これらの規定を具体的にどのように適用するかに関しては、各論的な考察を継続し、今後さらに検討を加える必要がある。 各論的課題として、借地借家法上の賃料減額請求に関する判例評釈を行った。最高裁は、近時サブリース契約や事業目的での賃貸借契約においても賃料減額請求を認めており、契約内容の調整問題としてとらえた場合、最高裁は一般的な事情変更の原則の適用と異なり、積極的な姿勢を示していると評価できる。 さらに、契約および契約環境の多様化問題に関連して、ECにおける不公正条項指令に関するEC司法裁判所の判例を検討した。EC指令を契機にEU加盟国においては不公正条項規制の調和が図られている。それに関連して、EC司法裁判所と国内裁判所のいずれが当該条項の不公正性判断を行うべきかが問題となった事案があり、EC司法裁判所は国内裁判所が不公正性判断を行うべきであると判示した。不公正判断に関して、EC司法裁判所は制限的な立場をとっているといえるが、EC司法裁判所の役割に鑑みた場合には、従来の判例の立場からみて支持される判断といえる。
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Research Products
(4 results)