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2004 Fiscal Year Annual Research Report

集合的・公共的利益に対する私法上の権利の基礎的考察:環境権の議論を起点として

Research Project

Project/Area Number 16730059
Research InstitutionKinki University

Principal Investigator

宮澤 俊昭  近畿大学, 法学部, 講師 (30368279)

Keywords公法と私法 / 民法と行政法の相互補完 / 法の実現における私人の役割 / 集合的・公共的利益 / 環境法 / 行政の執行不全
Research Abstract

本年度は、研究計画に従い、従来の環境権の議論の整理・検討、及び集合的・公共的利益に対する私法上の権利を論じる必要性の考察を行った。
従来の環境権の議論の整理・検討については、まず現在の議論において私権としての環境権が判例・通説に受け入れられていない理由を検討した。そしてその理由が、従来の議論において主張されている私権としての環境権は、集合的・公共的利益としての環境利益を対象とするという点において各個人の私益を対象とする古典的私権と異なる内容を備えていることが主張されているにもかかわらず、その論理が古典的私権の法的構成の枠内で組み立てられていることにあると結論づけた。これを基礎として、民法学だけではなく行政法学における議論をも含めて整理・検討を加え、本研究においては「集合的・公共的利益に対する私権」を「私人による民事訴訟を通じた秩序維持の実現を基礎づける私権」という意味を持つ権利として解釈論的考察を進める、との結論を得た。
このような「集合的・公共的利益に対する私権」を考察するに際しては、現在の議論において集合的・公共的利益に関する秩序の維持は国家、そのなかでも行政が中心的な役割を果たすとされているために、国家又は地方公共団体に対する行政訴訟を通じての私人の働きかけのみでは集合的・公共的利益を実現するのに不十分であることを示すことが求められる。この点に関して、現在の行政法における議論の検討を通じて、2004年に行われた行政事件訴訟法の改正が違法な行政作用の是正について重要な意義が認められているがなお更なる改革の必要性が説かれていること、及び行政の実効性の確保という観点からの議論において行政上の強制執行制度に機能不全が存在していることが示されること、を根拠として「集合的・公共的利益に対する私権」を論じる必要があるとの結論に至った。

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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