2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 広志 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (70360881)
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Keywords | 修理と再生産 / 消耗品 / 用尽 / 多機能型間接侵害 |
Research Abstract |
最近マスコミにも取り上げられている、「中古インクカートリッジ事件」に関する研究を推進した。これは、完成品(たとえばインクジェットプリンターのカートリッジ)の特許権者は、当該完成品が消耗した後、かかる完成品に用いられる消耗品(インク)の補充行為をする第三者を排除することができるかどうかという論点である。本研究では、特許権者の利益と第三者の利益、特に流通の自由に対する影響を考慮しながら、学説・裁判例を総ざらいし、あるべき姿を提言した(「用尽とは何か〜契約、専用品、方法特許、そして修理と再生産を通して〜」知的財産法政策学研究6号71〜120頁(2005年))。 また、同事件の東京地裁判決について、この事件に絞り込んだ判例評釈を発表した([液体収納容器・判批]判例時報1909号(判例評論563号)185〜192頁(2006年))。これは、前記研究の成果を具体的な裁判例に当てはめたものである。 これらの成果とは別に、特許法に新設された間接侵害の規定(特許法101条2・4号)について、裁判例及び学説をまとめつつ、その問題点を浮き彫りにした(「多機能型間接侵害についての問題提起-最近の裁判例を題材に-」知的財産法政策学研究8号147〜187頁(2005年))。特許法101条2・4号に関する本格的な研究は、本稿がはじめてであり、その意義は高いものと確信する。本稿では、同号の立法趣旨に鑑みつつ、その趣旨が条文に十分に反映されていない現状を批判し、解釈論としてどのような対応をすべきかを提言する。特に、実体法の解釈のみならず執行法の解釈にまで踏み込んでいる点が特徴である。
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Research Products
(3 results)