2004 Fiscal Year Annual Research Report
放送・通信融合期における「放送」をめぐる情報法理論の深化とその発展可能性の解明
Project/Area Number |
16730064
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 禎男 名古屋市立大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50346748)
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Keywords | 情報法 / 放送 / 通信 / 融合 / 視聴覚コミュニケーション |
Research Abstract |
研究計画調書中に列記した解明すべき点5点は、平成16年度補助金交付申請書中に記載した本研究を支える5つの柱と一致する。本年度の計画はこれら全般にかかわる問題状況の把握、すなわち巨視的分析に専心しながらも、独立した公表業績に至るレヴェルにまで達したものについて、紀要等の媒体をもって適宜公表することにあった。 まず、巨視的分析にかかわる作業である。本年度は、国内における問題状況を探るための前提となる資料を収集するため、2004年12月に2つの機関(九州大学および福岡大学)に出張した。さらに、2つの研究会報告((1)第74回中部憲法判例研究会、報告テーマ「わが国における『放送』をめぐる紛争とその解決手法-『放送の自由』の理解のために-」、2004年9月・南山大学、(2)平成16年度九州大学法学部「工房会」研究会、報告テーマ「『放送の自由』の法理論-日仏比較法研究-」、2004年12月・九州大学)を通じて、本研究テーマをめぐる特定問題の検討と全体構想の確認作業を行い、テーマの解明に努めた。 他方で、巨視的分析にかかわる作業の一端を担う、フランスにおける問題状況の把握にも努めた。具体的には2005年3月に、フランスにおける放送と通信に関する2つの行政機関((1)視聴覚コミュニケーションに関する最高機関:CSA、(2)電気通信規制機関:ART)に出張し、フランスにおける放送と通信との最新の融合状況を聞き取り調査し、文献収集も行っている。2004年に出された法律によって両機関の根拠法が大幅改正され、かつコンセイユ・デタの判決等によっても、フランスにおける当該領域での新たな融合の枠組みが形成されていることを確認した。 反面、本年度予定していた、本年度の活動成果の適宜公表については見合わせることになった。それは独立した公表業績に至るレヴェルにまで達していない、と自身が判断したことに拠る。ただし、今年度の国内調査研究にかかる前記研究会報告(1)に関して、また、今年度の海外調査研究に関しては、各々独立した成果として公表すべく投稿準備中である。平成17年度中にはこの一方もしくは両方について、紀要等の媒体上に成果を出す予定である。 なお、平成17年度に関しては、今年度の研究実績をふまえ、つぎのような活動を実践する予定である。すなわち、国内調査研究による微視的ないしは特定問題の引き続きの解明に加え、フランスにおける問題状況の把握において残された課題である、理論面での問題意識の解消である。今後はこうした活動をも総括のうえで、最終成果を出す。
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