2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガバナンス責任に関する研究-カナダのNPMとNPOを題材に
Project/Area Number |
16730072
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
毎熊 浩一 島根大学, 法文学部, 助教授 (50325031)
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Keywords | ガバナンス / NPM / NPO / カナダ / 行政責任 |
Research Abstract |
「ガバナンス時代における公的責任」の解明を目的とした本研究では、大きく三つのテーマに取り組み、下記の知見を得た。 第一に、カナダ行革について。彼国には、初期NPMのような単純な「官から民へ」という動向は見られない。政府の責任をなお重視し、公務員の近代化、政策能力開発、省庁間連携の強化、アカウンタビリティの再構築等に力を入れている。また、政府・省庁内での「分権」が志向されている点もカナダ行革の特徴と言える。 第二に、カナダの政府・市民セクター間関係について。本研究では、「水平的(horizontal)」ガバナンス構築を目指す主要政策として「Voluntary Sector Initiative」に着目した。その特徴は、(1)セクター間の関係良化、NPOの能力(資金、組織体制、アドボカシー等)強化、市民活動推進等テーマが極めて包括的であること、(2)広範なNPO等が各種委員会に参加するなどプロセス自体が「協働」で進められていること等にある。他方、政府がアジェンダ決定権を手放したがらないこと、取り組み内容のプライオリティにセクター間で認識のずれが見られること等が問題として指摘できる。 第三に、公的責任の理論的考察について。収穫は大きく二点。(1)「ボランタリーの失敗」論が示唆する通り、行政にはなお、いわば「(市民セクターの)補完」責任が残されている。だがこれは、旧来の行政責任論では手に負えない。ガバナンス時代にあっては、まず、市民セクターへの支援をもアカウンタビリティに含むべきである。また、NPO等の台頭による統制(期待)の多元化は「行政責任のディレンマ」を深刻化させ、それへの対応策としてレスポンシビリティ概念の再構築が求められる。(2)小職が「協働幻想」とよぶものである。この中身は多岐にわたるが、あえて一点のみあげれば、いわば「非協働」の視点からガバナンス論を再考する必要性を痛感するにいたった。
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Research Products
(1 results)