2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730075
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 俊道 九州大学, 大学院法学研究院, 助教授 (80305408)
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Keywords | 作法 / 宮廷 / 外交 / チェスターフィールド / マキァヴェッリ / エドマンド・バーク / カリエール / ヴィクフォール |
Research Abstract |
平成17年度においては、前年度に引き続き、17・18世紀ブリテンにおける「作法書」の調査・収集・整理・分析の作業を行った。 国内における資料の調査・収集にあたっては、おもに、早稲田大学および東京大学が所蔵するマイクロフィルムEarly English II :1640-1700やEighteenth Century、東京大学所蔵のThomason Tractsを用いた。また、夏期には連合王国に渡航し、現地の研究者と情報交換をはかるとともに、Public Record Officeにてシャフツベリ関連文書(Shaftesbury Papers)の調査を継続し、ケンブリッジ大学図書館においては日本では収集不可能な一次・二次資料の複写を行なった。 これらの作業を通じて、初期近代ブリテンにおける「作法書」の内容が明らかになりつつある。特に、今年度は、18世紀の文献を整理・分析した結果、16世紀から18世紀に至るまでの「作法書」の伝統の連続性が確認された。チェスターフィールドの『息子への手紙』はその頂点である。他方で、18世紀においては、商業社会化の進展に伴って、これまでの宮廷から文明社会への作法の舞台の移動が認められるとともに、新たに<politeness>の価値の上昇とその使用頻度の高まりが観察された。 本年度はまた、以上の基礎作業と並行して、来年度の課題であった外交と作法に関するテーマ研究を先取りして行ない、その成果を論文として発表した。交渉(negotiation)としての外交は文明の営為であり、それは作法書や大陸旅行を通じて身につけた作法の実践であった。このような外交と作法の連関を、マキアヴェッリやバークの外交観、ヴィクフォールやカリエールをはじめとする外交論とその受容、ウォットンやテンプルといった外交官の議論を通じて明らかにした。
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Research Products
(1 results)