2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730079
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
藤原 真史 山梨大学, 教育人間科学部, 講師 (20366975)
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Keywords | 地方自治 / 中央地方関係 |
Research Abstract |
本研究は、日本の地方自治体の連合組織(地方六団体)について組織、利益、作用・関係という3つの観点から分析を試みるものであり、本年度は2年間の研究期間の初年度に当たる。 本年度は、主として日本における国と地方自治体の関係を分析する視座を得ることと、地方六団体の歴史的な展開や諸研究における位置づけ等を把握することを目指して、内外の文献調査に取り組んだ。その成果は大要以下の通りである。 福祉国家サーヴィスの政策実施を担うことにより、単一主権国家と連邦制国家の別を問わずその重要性をより一層高めた地方自治体(地方政府)であるが、地方自治体の連合組織が有する影響力については、連邦制国家であるアメリカに比べると、日本を含む単一主権国家ではどうしてもより強い制約を受けがちである。しかしながら先行研究が指摘するように、アメリカの連合組織は決して万能なわけではなく多くの限界を抱えており、その逆に欧州の単一主権国家の連合組織も完全に無力な存在なのではなく、それぞれの政府システムにおいて一定の有効性を備えた存在として位置づけられる。地方六団体が、同じ単一主権国家である欧州諸国のそれと同等あるいはそれ以上の影響力を持つ存在なのか、はたまたそれ以下の影響力しか有さない存在なのかについてはさらに詳しい検討を必要とするが、概ね、単一主権国家という構造的制約の枠内に置かれていると考えられる。精査した先行研究の知見を鑑みるならば、地方六団体は中央地方関係において一定程度の影響力をかってよりも積極的に行使するようになってきたと言える。ただし、その影響力は政策分野によって大きく異なり、外部環境に大きく左右されてしまう傾向が見られる。 なお、こうした暫定的な結論を裏付けるために、本年度は時間的制約から実施に移せなかったが、ヒアリングないしアンケート調査を来年度に実施すべく準備作業を進めた。
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