2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市型産業集積における自治体・地域経済団体の役割-政治経済システムの地域比較-
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16730080
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
桑原 武志 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (90351436)
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Keywords | 都市型産業集積 / 自治体産業政策 / 地域経済団体 / 地域経済団体と自治体との結びつき地域政治経済システム / 地域政治経済システム |
Research Abstract |
本年度は大きく4つの研究を行った。 具体的には、第1に、地域経済団体に関して歴史的検討を行った。地域経済団体の起源について、東京・大阪大都市圏では、工場法運用のための地域経済団体(産業報国会の支部ともなる)が存在したが、これらが名古屋大都市圏でどうだったのかを、資料を収集して検討した。その結果、名古屋大都市圏では、地域毎ではなく「大企業」毎の組織化が行われていたようであり、東京・大阪と名古屋では、地域経済団体の組織化・起源に違いがあることが判明した。その他、市史・経済団体史を中心に、地域経済団体の歴史的検討を行った。 第2に、自治体・地域経済団体、なかでも東京都葛飾区・同三鷹市に注目してヒアリング調査を実施した。東京都葛飾区は工業が盛んであるが、葛飾区には地域経済団体が存在していなかったため、自治体が誘導して新たに地域経済団体を業種別に組織化し、その協力のもとで、自治体産業政策を立案・執行していくことを考えたが、地域工業が衰退する中、地域経済団体の積極的な参加が難しくなっていることが判明した。三鷹市では、自治体が産業政策を経済だけでなくまちづくりセクションとの調整・協同、市民参加の促進、とくに地域経済団体である商工会との協同のもとで、政策が立案・執行されていることがわかった。また、自治体産業政策を立案・執行する新しい主体として、株式会社がつくられていることも興味深い。 第3に、先行研究のうち、とくにリチャード・ロックのRemaking The Italian Economy、中村剛治郎『地域政治経済学』に注目して、理論的検討を続けているところである。第4に、今までの研究成果を踏まえて、「地区別工業会の機能」(植田浩史編『縮小時代の産業集積』創風社、2004年、に所収)を執筆した。
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