2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域統合組織および統合深化過程への参加に関する国民投票についての研究
Project/Area Number |
16730087
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
五月女 律子 藤女子大学, 文学部, 助教授 (50326526)
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Keywords | 国際関係論 / 政治学 / 欧州連合(EU) / 欧州統合 / 地域統合 / 国民投票 / スウェーデン / ヨーロッパ政治 |
Research Abstract |
スウェーデンにおけるEUに関する国民投票は、1994年の加盟を問う内容に対しては賛成が過半数となり、2003年のユーロ導入に対しては反対が半数を超えた。2003年の国民投票の詳細について分析すると、1994年と比較して反対派の主張にはほとんど変化が見られなかったが、スウェーデン経済が他のEU加盟国よりも好調であったことと、反対派が賛成派に先駆けて国内での議論を仕掛けるなど、賛成派のキャンペーンが予想通りに進まなかったことが相違点として存在していた。その結果、賛成派は国民を賛成に動員することが出来なかったと考えられる。 スウェーデンは他のEU加盟国と比較して反EU傾向が強いことが各種世論調査で表れており、1990年にEU加盟が争点として挙がった時から反EU組織が設立され、その後も活動を継続している。国民レベルでは1994年のEU加盟国民投票時には賛成が多数を占めていたが、加盟後は反対派が増加した。ユーロに対しては賛否が大きく変動していたが、2003年の国民投票以降は反対が賛成を上回る世論調査結果が続いている。欧州議会選挙では反EUの政党が躍進し、2004年の欧州議会選挙ではEUに対して懐疑的姿勢を示す新設の政治団体が、スウェーデンで第3党となる議席数を獲得した。国内政治においても、反EUを掲げる政党が支持率を伸ばし、EUに懐疑的な新党が国政選挙への参加を表明するなどの変化が生じている。 性別で比較すると、2回のEUに関する国民投票結果において反対の割合が女性で10ポイント程度高く、その後の世論調査でもスウェーデン女性の反EU・EU懐疑傾向が明白に表れている。しかし、すべての女性がEU加盟およびユーロ導入に反対の姿勢を示しているわけではなく、保守・自由主義政党の支持者や、大都市居住、高学歴、高所得、専門職の女性は、EUおよびユーロを支持する傾向が継続している。
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