2004 Fiscal Year Annual Research Report
効率・公平のトレードオフ関係を念頭に置いた社会選択および租税政策
Project/Area Number |
16730093
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西村 幸浩 国立大学法人横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (90345471)
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Keywords | 羨望なき公平性 / 租税遂行可能性 / 財政制度 / 非線形所得税 / 所得再分配 |
Research Abstract |
論文"Tax Implementability of Fair Allocation"(単著)において、厚生経済学において公平(equitable)な資源配分のための規範的基準のひとつとして考えられている「羨望なき公平性」(fairness as no-envy)とその代替的公平概念に基づく資源配分を、適切な租税制度のもとで遂行できるか、という「租税遂行可能性」(tax implementability)を考察した。同論文はレフェリー付学術誌Review of Economic Designに受理、刊行された。 論文"Human Fallibility, Complementarity and Fiscal Decentralization"(単著)において、効率・公平性に基づいた政策決定を行う政策主体(官僚ないし政治家)が、政策目的(経済成長や経済厚生)に最もふさわしい政策を必ずしも予見できずに失敗しうるケースを織り込み、政策執行権限を地方政府に譲る財政分権化(Fiscal Decentralization)が経済成長にとって望ましいケースとそうでないケースを考察した。同論文はレフェリー付学術誌Journal of Public Economic Theoryに受理された。近刊の予定。 論文"Envy Minimization in the Optimal Tax Context"(単著)において、個人が他の個人の境遇に対する羨望の強度の尺度を用いたChaudhuri ("Some Implications of an Intensity Measure of Envy", Social Choice and Welfare,1986)、およびDiamantaras and Thomson ("A Refinement and Extension of the No-Envy Concept",Economics Letters,1990)の公平原理が、非線形所得税(non-linear income tax)を用いた所得再分配の文脈において、どのような経済学的帰結をもたらすかを考察した。具体的には、低所得の個人への所得分配と、ChaudhuriやDiamantaras-Thomsonの意味での羨望の減少が両立するケースとそうでないケースを分けることを試みた。同論文は学会"Taxation and Decentralization"(University of Irvine,2005年2月14日)にて発表され、Amihai Glazer教授(University of Irvine), Stanley Winer教授(Carleton University),井堀利宏教授(東京大学)ら、参加者より高い評価を得た。現在、学術誌への投稿を準備中である。 論文"The General Rule for Weighing Equity and Efficiency"(単著)を、一橋大学経済理論ワークショップ(2004年10月21日)にて発表。参加者より高い評価を得た。現在、学術誌への投稿を準備中である。
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Research Products
(2 results)