2004 Fiscal Year Annual Research Report
月次と四半期の系列を用いたDI型・CI型景気指数の開発
Project/Area Number |
16730113
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
村澤 康友 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (00314287)
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Keywords | 景気指数 / 月次実績GDP |
Research Abstract |
景気指数とは「景気」を測る指数である.したがって景気指数の統計的基礎を考えるためには,まず「景気」を明確に定義する必要がある.景気指数を「景気」の推定量(値)と解釈すれば,様々な指数を統一的な観点から比較・評価できる.本研究では「景気」を「月次実質GDP」と定義し,その推定値を新しい景気指数として提案した.新しい指数は従来の指数の自然な拡張として理解できる. Stock and Watson (1989,1991)は,「景気」を「一致指標の背後に存在する共通因子」と定義した.すなわち一致指標に1因子モデルを仮定し,共通因子の最尤推定値を新しい景気指数として提案した.このストック=ワトソン指数は,従来の記述統計的な指数と異なり,「景気」の推定値と解釈できる画期的な指数である.ただし共通因子はそのままでは経済変数として意味をもたないので,ストック=ワトソン指数が表す「景気」の解釈には注意が必要である.また共通因子の平均と分散は識別されず(通常は平均0,分散1などとする),識別の与え方により指数の動きが異なるという問題がある. 「景気」の最も自然な定義は「経済活動の水準」であろう.マクロの経済活動の水準は実質GDPで測られる(生産・分配・支出のいずれの面からも等しい).したがって実質GDPのデータがあれば景気指数は不要である.しかし実質GDPは四半期系列であり速報性が低い.そのため月次実質GDPの代理変数として景気指数が必要となる.すなわち景気指数の作成は月次実質GDPの推定と本質的に同義である. 本研究ではVARモデルや多因子モデルによる月次実質GDPの推定を提案した.景気指標の1つとして月次実質GDPの推計には従来から関心がもたれていたが,それが景気指数そのものであることを示したのが本研究のポイントである.
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