2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の海外現地法人の所有形態とその決定要因に関する研究
Project/Area Number |
16730117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
春日 秀文 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40310031)
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Keywords | 海外直接投資 / 多国籍企業 / 現地法人 / 出資比率 |
Research Abstract |
本研究では、日本企業が海外に現地法人を設立する場合にその出資比率をどのように決定しているかを分析している。先行研究では、技術水準が高い企業は海外に進出する傾向が強く、自身の高度な技術情報が流出することを恐れ(パートナーと組むことよりも)単独での進出を選択する傾向が強いことが指摘されている。一方で、進出先での経験が十分でない企業は、現地パートナーとの協力を積極的に進め、その結果出資比率が低下するという点も確認されている。このような結果は、欧米企業のデータを用いた実証分析では確認されているが、日本企業のデータを用いた研究では必ずしも確認されていなかった。 本研究では、Kasuga(2003)による不完全資本市場における投資を考慮したモデルを用いて、技術、経験、業種等の変数に加え、為替レートや資金調達の容易さが現地法人への出資比率に大きな効果を持つという仮説を提示している。ここでは従来の仮説とは異なり、円高や親企業の株価の高騰は、資金調達を容易にして現地資産を買収するコストを低下させるため、(他の条件が一定であれば)出資比率を高くする効果があるという点を考慮している。 日本の多国籍企業約60社の現地法人のデータを用いて、出資比率の決定要因を分析したところ以下のような結果が得られた。1)技術、経験、業種等の様々な変数をコントロールした後でも、為替レートは出資比率に影響する。2)為替レートの出資比率への効果は、理論モデルが示唆するように資本市場が不完全であることによるものと考えられる。
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