2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホームレスの健康・医療対策および自立就労支援策に対する実証研究
Project/Area Number |
16730126
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鈴木 亘 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80324854)
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Keywords | ホームレス / 生活保護 / 医療経済学 / 検診データ / 自立支援プログラム |
Research Abstract |
本年度は、大阪城のホームレスを中心とした健康問題の調査及び、墨田区のホームレス実態調査を中心に調査を行ってきた。また、生活保護や自立支援プログラムに対しても積極的な政策提言を実施してきた。それらの結果は、以下の4つの業績にまとめられるとおりである。まず、全国最大規模の大阪城一時仮設避難所及び大阪市健康福祉局の協力を得、仮設一時避難所に入所したホームレスの健康診断データと、一般の健保組合や国保組合の検診・レセプトデータとの比較研究を行なった(業績(1))。その結果、いずれも、ホームレスの健康状態が非常にリスクが高いことを示す結果となっている。 そのほか、ホームレス対策や生活保護対策の効果を評価するための研究として、産業連関表を用いた分析などにより、景気浮揚効果としてもホームレス対策、生活保護対策が優れた側面を持つことが明らかとなった((4))。また、昨年度、今年度とNPOふるさとの会と協力して墨田区のホームレスの実態調査を行った。その結果は、(2)としてまとめられている通りである。この調査では従来から指摘されてきた高齢化、安定雇用・安定居住からの落層化という2つの傾向が鮮明となった。さらに、今年度は自立支援プログラムが実行に動き出したことにより、その動向をヒアリング調査した。その結果は、(3)にまとめられている通りである。来年度も引き続き、大阪、東京の両者で調査を続け、深めてゆきたいと思っている。 (1)鈴木亘「仮設一時避難所検診データを利用したホームレスの健康状態の分析」『医療と社会』15巻3号、2006年、53〜74 (2)鈴木亘、麦倉哲、大崎元、阪東美智子、水田恵、成清正信「墨田区ホームレスの特徴〜実態調査の結果から〜」『shelter-less』27巻、2005年、125〜144 (3)鈴木亘「自立支援プログラムへの不安と期待」『shelter-less』27巻、2005年、38〜49 (4)鈴木亘「地域経済波及効果に着目した生活保護費の評価について-大阪市を例として-」『社会政策学会誌』14号、2005年、118〜129
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Research Products
(4 results)