2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本及びアジアにおける環境的に持続可能な交通の便益評価、目標、政策に関する研究
Project/Area Number |
16730135
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
兒山 真也 兵庫県立大学, 経済学部, 助教授 (30305677)
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Keywords | 安全会計 / CO2排出削減便益 / VSL / 上海市の交通 |
Research Abstract |
本年度は当初計画によれば大気汚染に重点を置くことにしていた。しかし4月25日にJR西日本福知山線で107名が死亡する列車脱線事故が発生、JR西日本の安全に対する姿勢が厳しい批判を浴びることとなった。交通によるこうした悲惨な事故を防止する社会的なしくみづくりは本研究の中でも取り組むべきテーマである。そこで研究の優先順位を一部変更し、環境会計や防災会計を援用した新しい概念である「安全会計」(事業活動における安全性向上のためのコストと効果とをできる限り定量的に測定し伝達するしくみであり、内部機能と外部機能を有する)を具体的に提案するための研究に重点を置いた。 大気汚染については、欧米における議論とVSLの標準的な値の把握に努めた。EUにおける推奨値(環境汚染によるもの)は〓100万(〓65万〜〓250万)とされている。また死亡リスク削減便益の指標としてVSLよりむしろVSLYを用いるべきだとするSunsteinらの主張は必ずしも優勢ではない。汚染への曝露と被害との関係については、米国の疫学調査(ハーバード6都市研究)における新たな知見(大気汚染改善による死亡率削減)を確認した。 また参画する機会を得た「道路事業における外部効果の計測手法に関する研究会」における議論と並行して、騒音、地球環境(CO2)、災害時の代替路確保の3点について、道路整備便益の金銭表現に関する検討を行った。このうちCO2排出削減便益は、被害費用アプローチに基づくべきこと、貨幣評価原単位についてはTolらのレヴューに基づき$43/t-Cを中位とするさほど広くない区間に収まると考えてよいことなどを結論として得た。 昨年度から継続している上海市の都市交通政策調査については、道路料金制度の創設以来の展開などを追った。新たに第11次五カ年計画に対応した動きもみられる。
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Research Products
(1 results)