2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全技術の研究開発と競争政策についての理論・実証研究
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16730140
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大内田 康徳 広島大学, 大学院社会科学研究科, 助教授 (40321517)
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Keywords | 環境政策 / 研究開発 / ゲーム理論 / 競争政策 / 経済政策 |
Research Abstract |
これまで環境保全技術のR&D研究については寡占市場モデルを想定した研究は少なく,また,環境保全技術に関わるや環境規制の在り方に着目した研究はそれほど多くない。特に,競争政策の運用指針が環境投資に与える誘引についての分析について研究知見の集積が非常に薄い。そのため,その分析上の空白部分に研究知見を蓄積しつつ具体的な政策形成や制度設計に貢献する成果を提示することを本研究の目的としている。本年度は,クリーンな生産要素への開発・転換を目的として環境ラベリング制度が与える効果を分析し,望ましいラベリング制度の在り方を理論的に明らかにし,さらに政策含意を明らかにすることを主たる目的にしている。 本年度の研究では,クールノー型複占市場を想定し,安価であるが環境負荷を与える生産要素から高価であるが環境負荷を与えない生産要素への投入転換を促す政府主導型の環境ラベリング制度を考察した。生産活動の際に,政府が決定するクリーンな生産要素の使用割合基準を満たしているならば,企業は環境ラベリングを許可され,消費者も当該財が環境配慮財であることを認知する。財に環境ラベリングが付されることで,消費者の購買意欲が促進されるために需要規模が拡大する。その結果,生産費用は増えるが企業利潤が高まる可能性がある。さらには,社会厚生も変化する。 本研究では企業の利潤拡大と生産要素転換のための参加条件,さらに政府の社会厚生改善の観点を考慮しながら3段階のゲームの均衡解を導出した。さらに,その均衡解についてシミュレーション分析を通して政策含意を解析している。
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Research Products
(1 results)