2004 Fiscal Year Annual Research Report
海外直接投資を通じた国際分業の進展と貿易構造・国内産業構造の変化に関する研究
Project/Area Number |
16730141
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 恵子 専修大学, 経済学部, 講師 (40353528)
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Keywords | 貿易統計 / 輸入浸透度 / 直接投資 / 国際分業 / アジア / 技能労働シフト |
Research Abstract |
本年度は、詳細な産業別・企業別データを整理し、いくつかの予備的な数量分析を行った。研究実績は以下の通りである。 (1)日本の貿易統計を整理・加工することにより、1980年〜2003年までの産業連関表基本分類別・貿易相手国別に輸出入データを作成した。そして、各産業における輸入浸透度や、アジア諸国や低所得国からの輸入比率などの指標を整理し、特に90年代に入ってアジアの中・低所得国からの輸入が大幅に増加していることを示した。 (2)国内経済や産業構造の変化をみるため、国内産業に関するデータを整理した。まず、対日直接投資の現状を産業別に整理するため、総務省『事業所・企業統計調査』の集計結果に基づいて国内における外資系事業所・企業の従業者数を詳細な産業別にまとめた。1996年から2001年の期間に、特にサービス業で外資系事業所の労働者数が大きく増加していた。また、国内における労働需要の変化を見るため、『国勢調査』の集計結果に基づいて産業別・職種別の労働者数データを整理した(1980年〜2000年)。米国などの研究では、海外生産や輸入の増加などによって単純労働者から技能労働者への労働需要のシフトが起きているという結果があるが、日本については今のところそのような変化ははっきりとは見られない。 (3)経済産業省の『企業活動基本調査』、『海外事業活動基本調査』の企業別データを利用し、海外からの仕入や海外生産の増加、輸入品との競合度といった要因が、企業の国内での雇用や売上高どのような影響を与えているのか、数量的に分析した。アジア諸国からの仕入の増加は国内雇用を減少させる傾向がみられたが、売上に対しては有意な影響は与えていなかった。また、輸入品との競合度の高い産業では雇用・売上高ともに減少傾向にあったが、そのような産業に属する企業のうち、生産性や研究開発集約度の高い企業では売上の減少が比較的少なかった。
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