2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730146
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高塚 創 香川大学, 大学院地域マネジメント研究科, 助教授 (50304572)
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Keywords | 産業の地域特化 / 経済地理 / 輸送費用 / 都市費用 / シミュレーション |
Research Abstract |
近年の日本の産業立地においては,製品の輸送費用の違いに基づく産業の地域特化が生じているように見受けられる.例えば,鉄鋼産業や,石油・石炭製品産業など輸送費用の高い産業は人口集積地の近くに立地し,一方,電気・電子機械産業,精密機器産業など比較的輸送費用の低い産業は人口集積地から離れたところに立地する傾向が強まってきている. 本研究の第二年度においては,地域産業政策を念頭におきながら,初年度に引き続きこの現象を説明する理論モデルの構築に取り組んだ.具体的には,輸送費用と通勤費用が独立に変化しうるより一般的な状況を想定し,都市費用(住宅費用,通勤費用)を明示的に考慮した二地域経済地理モデルによって,財の輸送費用が異なる3産業の立地パターンを理論的,および数値解析的に分析した. その結果,産業の分散は通勤費用が十分大きいか,輸送費用が十分小さい場合に生じることが分かった.ただし,前者の場合は全ての産業が同様に分散するのに対し,後者の場合は地域特化的に分散することが明らかになった.後者の場合,具体的には交通技術が発展するにつれて,輸送費用の低い産業から集中地域を離脱していくパターンが一般的である.これは輸送費用の低い産業においては,大地域が持つ市場アクセス効果よりも小地域が持つ都市費用節約効果が魅力的になるからである.しかし,例外的に,輸送費用が大きい産業よりも小さい産業の方が,より多く大市場に立地する場合も観察された.これは一見直観に反するが,小地域が持つ競争緩和効果がこういった状況を引き起こす可能性があることが分かった.
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Research Products
(1 results)