2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソ連・ロシアにおける人口移動と産業立地の歴史的計量分析
Project/Area Number |
16730147
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
雲 和広 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (70314896)
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Keywords | ソ連 / ロシア / 産業立地 / 人口移動 / 計量分析 |
Research Abstract |
本研究は,旧ソビエト連邦において構築されていた地域経済構造とそれを継承した転換期ロシア連邦の地域経済における産業立地と労働力配置との問題に,統計的・歴史的視点を導入して検討を行うことを課題としている.歴史的検討においては,近年制定されたロシア連邦における「情報公開法」に基づき『ロシア連邦国立経済文書館』で公開されるようになった「ソビエト連邦閣僚会議内部資料」を収集・調査し、データの整理とそれら一次データに基づく記述統計分析・計量分析とを行うことにより、旧ソビエト連邦における地域経済構造の変遷を,歴史的かつ定量的に明らかにすることを課題とするものである. 「ロシアにおける地域間人口移動とその背景」,『北東アジアにおける国際労働移動と地域経済開発』,大津定美編,ミネルヴァ書房,第8章,2005年2月,pp.141-157,においては,転換期ロシアの地域間人口移動動態を分析した.そこで示されたのは経済的要因が人口移動パターンに与える影響の強さであり,その影響力はソ連崩壊後一気に強まったことが明らかになった. 一方,Soviet Industrial Location : A Re-examination, Europe-Asia Studies,vol.56, no.4, June 2004, pp.595-613および「ソビエト初期地域工業化過程:ソ連中央統計局内部資料による再検討」,『経済研究(大阪府立大学)』(宮本勝浩教授記念号),2004年12月15日,pp.81-94では,ソ連統計局内部資料に基づきソビエト初期の地域経済発展を後追いした.「地域間平準化」を図っていたと一般的に目されるソ連においても,既存工業集積地域への明確な生産集中過程が見いだされたことは,集積の経済性に基づく企業配置がソ連でも進められていたことが示唆されるものであった.
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