2006 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー産業における規制改革が地域経済に及ぼした影響についての実証分析
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16730149
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
秋山 修一 釧路公立大学, 経済学部, 助教授 (60347177)
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Keywords | エネルギー / 規制改革 / 実証分析 / 電力事業 / ガス事業 / 地域間ネットワーク / 空間均衡モデル / 政策シミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題は、エネルギー分野における規制改革にもとづく地域独占市場に対する新規参入や相互参入が、当該地域へ及ぼす直接的な影響だけでなく、電力の地域間連系線という地域間ネットワークを通じたエネルギーの「輸出入」によって、日本全国に及ぼす間接的な波及効果の影響、あるいはそうした影響の地域間格差について、電力事業とガス事業のデータを用いた定量的な分析を行なったものである。本年度は、まず昨年度からの検討課題であるガス需要の地域別推定を試みたが、頑健かつ理論的に整合性のあるパラメータの推定結果は得られなかった。そこで、ガス需要との代替性を考慮した電力需要の地域別推定を行ない、電力需要の価格弾力性については、-0.082から-0.298の範囲であり、電力需要とガス需要の代替の弾力性については、-0.160から-0.319の範囲であるとの結果を得た。これらの推定結果を用いて、電力の全国的なネットワークを通じた地域間波及効果についてエネルギー空間均衡モデルによる政策シミュレーション分析を行なった。その結果、今後のガス事業における規制緩和・自由化の進展によるガス需要の増加は、どの地域においても電力需要を減少させるものの、その影響は地域によって異なることが示された。また、こうした地域間格差は、電力市場における自由化の進展、とくに振替料金制度の廃止などにより地域間競争促進されることで縮小する傾向にあることが示された。例えば、ガス需要が各地域で10%増加した場合の電力価格に対する影響は、振替料金制度の廃止前には0.09%から3.17%の範囲にあったものが、廃止後には0.35%から1.70%の範囲まで格差が縮小することが示された。
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