2004 Fiscal Year Annual Research Report
郵便事業の民営化が社会・経済に与える影響の応用一般均衡分析
Project/Area Number |
16730157
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 帝塚山大学, 経済学部, 専任講師 (00368581)
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Keywords | 応用一般均衡 / 民営化 / 経済効果 / シミュレーション / 郵便 / 公益事業 / 規制緩和 / 産業連関表 |
Research Abstract |
平成16年度には、産業連関表の大分類部門に、基本部門のうち郵政3事業が属する郵便・金融・生命保険を加えた産業構成で単純な関数形による応用一般均衡モデルを構築した。 本年度作成した応用一般均衡モデルの基準データセットは、総務省発行「平成7年度産業連関表」を用いた。なお、「平成12年度産業連関表」が既に総務省より公表されているが、同データセットは平成16年中にもデータ修正があったため、平成17年度以降に利用することとした。 本年度の応用一般均衡モデルの均衡計算に関しては、一般的な応用一般均衡計算システムであるGAMS等の均衡計算に用いられる簡便法(NEWTON法など)を用いず、不動点アルゴリズム(メリルアルゴリズム)を記述し、大域的安定性が確保される計算方法を用いた。本年度、不動点アルゴリズムの記述が終了したことにより、次年度以降のモデル拡張の準備がある程度整えられた。 本年度は、上記モデルにより、郵便事業民営化により事業の効率性が3%上昇したケースのシミュレーションを試行した。3段階でグリッド変更して収束計算を行ったが、郵便事業が効率化したことにより郵便価格は大きく低下し、労働価格を基準とした場合に、基準均衡との比較で97.7%程度となり、その影響で郵便に対する最終需要量は約2%の増加となることなどが明らかとなった。また、経済全体への影響では、郵便価格低下が波及した結果、多くの部門で0.001-0.02%の価格低下を引き起こしことが明らかとなった。これらの影響を等価変分・補償変分の両厚生尺度で計測したが、概ね773億円分程度の社会厚生増大効果があることが明らかとなった。
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