Research Abstract |
(1)研究概要 ・2004年度の研究は,大きく3つの段階に分かれている. 第一段階は,分析に必要となるデータを情報公開法によって収集し,それらを分析可能な形としてデータベース化した.とりわけ,今年度に整理が進んだものは2つある.1つは,1997-2001年(5年間)の市町村別・所得16階層別の所得税課税にまつわるものである.これまで,市町村レベルで所得16階層別のデータを取り扱った研究は皆無であり,所得格差の研究を進展させるために,これらのデータを自らの研究に活かすだけではなく,広く公表したいと考えている.他方は,1975-2001年(約四半世紀)にわたる,市町村別の健康保険料の徴収実績である.近年,租税,保険料などの徴収実績が伸び悩む中,市町村が被保険者となっている国民健康保険の保険料の徴収は,地方財政において非常に重要な位置を占めている.これが,所得格差などの変数とどのような関係にあるのかは非常に興味深い. 第二段階は,それらのデータの特性について把握するために,クロス集計や,一次接近的なデータワークを行った.なお,データ整理の過程で発見されたデータの不備(行政側の人為的なミス)については,これを確認・修正している.また,新たに必要性が高いと認知されたデータについては,情報公開法による申請の手続き(事前調整)を開始している. 第三段階は,これらの作業を通じて知りえた情報のうち,特に公刊する価値を有するものについてはこれを取りまとめ,研究会や勉強会での発表を重ねて,現在は査読付雑誌へ投稿中である.また,本研究で収集したデータを利用した研究が1つ既刊である(研究発表を参照のこと).
|