2004 Fiscal Year Annual Research Report
租税競争論及び二重の配当論を用いた環境関連税制の制度設計に関する理論的研究
Project/Area Number |
16730168
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石田 和之 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (30318844)
|
Keywords | 環境税 / 租税競争 / 二重の配当 / 地方税 / 財政 / 税制 |
Research Abstract |
本研究は環境関連税制を租税競争論および二重の配当論を用いて理論的に分析することを試みるものである。今年度行われた研究は、平成16年度から平成18年度に渡る3ヵ年の研究のうち、初年度分である。 本年度に行った研究実績の概要は以下のとおりである。まず、わが国の地方レベルにおける環境関連税制の動向についてサーベイを行った。とくに、森林環境税および水源涵養税が各道府県においてどのように議論、検討されているのか、導入にあたっての問題点としてどのようなものがあるのかを検討した。その結果、ほとんどの道府県で導入が検討されている租税のタイプは、住民税の超過負担としての森林環境税であり、水使用量に対して課税することにより水源涵養を図る水源涵養税の導入は、徴税コスト面から導入が困難が実情となっていることが明らかになった。住民税の超過負担として課税を行うことにより環境保全を行おうとするタイプの租税は、環境税の理論的な研究において分析されたことはほとんどないといえよう。 また、本研究における分析の前提となる租税競争下における課税の限界費用についての分析を行った。その結果、租税競争により必ずしも課税の限界費用が効率的水準から乖離するわけではなく、租税制度そのものが攪乱的効果をもつ場合には、租税競争により歪みが縮小する可能性があることを示した。 さらに、租税競争の枠組みで環境税を分析するためのモデルの基礎について検討した。
|