2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ドイツ中等技術教育の制度的発展とその地域比較に関する研究
Project/Area Number |
16730178
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
森 良次 国立大学法人福島大学, 経済経営学類, 助教授 (10333999)
|
Keywords | ドイツ経済史 / ヴゥルデンベルク / 中等技術教育 / 職業教育 / 地域 / 産業振興政策 |
Research Abstract |
平成16年度の研究により明らかとなったことは次の点である。 1,バーデン中等技術教育の発展はとりわけ営業補習学校において顕著であり、主として手工業者から構成される営業協会がその設置・運営主体となった。営業協会に結集した手工業者は伝統的徒弟制度の制度的厳格さや既存の手工業的技能に固執する傾向が弱く、新技術・技能に対して積極的な教育需要をもった。こうして営業協会により推進された営業補習学校設立運動に、政府は19世紀後半に入ると積極的に関与するようになり、バーデンの営業補習学校は質的量的な発展をみた。 2,これに対してザクセンでは、営業協会等の手工業者団体は職業学校の設立を推進したものの、政府はこれに積極的に関与することはなかった。そのため職種を越えた技術教育の場である営業補習学校は普及せず、営業団体を設立母体とする職業専門学校が発展することになった。 3,ヴュルテンベルクの場合には、政府は職業教育の担い手として営業協会を産業振興政策の中に意識的に取り込み、体系的な中等技術教育制度を構築した。 4,こうして南ドイツの各領邦には、職業教育に対する政府の関与の仕方に差はあるものの19世紀後半から本格的に営業補習学校、専門学校を発展させることになった。営業補習学校では一般的に製図教育が重視され、これと技術的関連性の強い職種において重要な教育的意義をもった。専門学校の場合、各領邦ごとにその組織的教育的実態は多様であるが、バイエルン、ザクセンでは補習学校への通学義務の免除措置として専門学校への通学が定められ、製図技術を必要としない様々な職種にも専門学校が普及した。
|
Research Products
(3 results)