2004 Fiscal Year Annual Research Report
第一次大戦期におけるロンドン・シティ金融界の再編と銀行経営の変容
Project/Area Number |
16730181
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 大介 山口大学, 経済学部, 講師 (50345857)
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Keywords | 第一次大戦 / 戦時公債 / イギリス / 株式銀行 / イギリス大蔵省 / イングランド銀行 / ロイド・ジョージ / CLCB |
Research Abstract |
本年度は、研究テーマのうち、第一次大戦期における主要株式銀行家の戦時期財政・金融政策への関与の解明、また、「関与」を通じた、戦時期における株式銀行家と政府(大蔵省)・イングランド銀行間の「新たな関係構築」についての分析を試みた。まず、研究の第一段階として、関係する研究史を整理し、論点を明確化した。この後、渡英し論点に関係する資料の収集を、以下の文書館にて行った。株式銀行の業界団体(Committee Of London Clearing Bankers)に関しては、ギルドホール図書館にて、また有力株式銀行のミッドランド銀行の資料については、HSBC(香港上海銀行ホールデング)資料室にて、更にイギリス大蔵省関係資料についてはイギリス国立文書館(The National Archive Public Record Office)おいてである。また、年度内に再度渡英し、一度目の資料調査では手が廻らなかった、イングランド銀行資料室、イギリス議会貴族院文書室を訪れ、関係資料(前者では、大戦中総裁だったカンリフ卿に関する資料などを、「後者では大戦中蔵相・首相であったロイド・ジョージに関係する文書)の入手に努めた。こうして入手した一連の資料を基に分析を進め、第一次大戦期における主要株式銀行家の戦時期財政・金融政策への関与の実態を明らかにするとともに、戦時期における「シティ金融界(株式銀行)一政府・大蔵省-イングランド銀行」の人的関係の変容を時系列的に整理した。その中から、第一次大戦前、「シティ金融界のアウト」サイダー」とされた株式銀行家が、第一次大戦期の戦時公債発行協力を契機に、途中紆余曲折を経ながらも、大蔵省・イングランド銀行に接近し、その地位を大幅に上昇させていることを発見した。
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