2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規事業プロジェクトに関するビジネスリスク・マネジメントの研究
Project/Area Number |
16730186
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
川上 昌直 福島大学, 経済経営学類, 助教授 (90333997)
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Keywords | リスク・マネジメント / ビジネスリスク / リスク・リターン・パラドクス / コンテンツビジネス |
Research Abstract |
全3年度にわたって、新規事業プロジェクトにおける、ビジネスリスクとそのマネジメントに関する研究を行うに当たって、本年度は2つの点で研究を進めてきた。 1つは、コンテンツ・ビジネスの現状とその事業スキームを明らかにしたことである。具体的には、2005年10月に六本木ヒルズにおいて実施された国際エンターテインメント・セミナー(わが国邦画界のトップランナーが講師)に参加し、実業者から業界の専門知識を得、さらにインタビューによって、事業スキーム等や今後のコンテンツ産業のあり方についての情報収集を行った。さらに、コンテンツ産業のこれからの鍵になるフィルムコミッションの調査を行った。これは、スキームのステークホルダーを増やし、収益増大と費用削減の鍵となるプレイヤーであるため、実際に「世界の中心で愛を叫ぶ」を担当した高松フィルムコミッションに調査をかけ、貴重な情報を得た。 もう1つは、学術研究としてのビジネスリスク、ひいてはトータル・リスクの理論研究である。ここでの研究は、新規事業着手時に問題となるリスク・リターンの関係を明らかにしようとしたものである。具体的には、現代企業においては、リスクとリターンは正の関係にはなく、むしろ、負の関係(リスク・リターンのパラドクス;ローリスク・ハイリターンあるいはハイリスク・ローリターン)にあることを、わが国企業の20年間のデータから明らかにした。これは企業のマネジメント、なかでもリスク・マネジメント能力に関わる問題である。この点についての研究を深めるため、さまざまな経営学ならびに財務論研究者と研究会を重ね、その成果をまずは日本経営財務学会第29回全国大会において発表した。さらにそこで、得たさまざまなアドバイスや知見をもとに、「商学論集」74巻4号において、研究論文として成果を残した。
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