2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730205
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小沢 貴史 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 助手 (50367132)
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Keywords | 再活性化 / 製品市場 / 再活性要因 / 連動性 / タテの相互作用 / ヨコの相互作用 / 再活性戦略 / 競争と協調 |
Research Abstract |
本研究では、長期的な製品市場の進化過程の中でも、需要の伸びが停滞もしくは衰退した状態から、何らかの要因が作用したことをキッカケに、再び活発化、すなわち再成長の軌道に乗る現象に注目している。このような現象を、本研究では製品市場の再活性化と定義づけている。 本研究では、再活性化を遂げた製品市場を抽出するべく、「工業統計表」所収の出荷データを収集した。1985年から2002年までの期間において、欠損なく収集できた製品市場は、金額ベースのもので1,266、数量ベースのもので694に上る。これらの製品市場に関するデータを基にして、企業の再建研究におけるV字回復の条件を参照して、次のような条件を満たす製品市場を探索した。 (1)1990年代を起点に、再活性化がみられる製品市場 (2)起点以前の対前年成長率が、4年以上に亙って実質経済成長率以下のもの (3)起点以後の成長率が、4年以上に亙って実質経済成長率を上回るもの その結果、金額・数量を問わず、2.0%ほどに過ぎないが、条件を満たす製品市場が現存していた。例えば、さば缶詰や果実酒、触媒、アンプル、マシニングセンタ、電気がま、特別用途車、プリズムなどが挙げられる。いわばV字回復を遂げている製品市場において、「その時、何が起こったのか」を実証していくことで、再活性要因の特定化を図りたい。それが、来年度における研究の課題となる。具体的には、再活性化現象を体系的に説明するための概念や視座を整備するとともに、実際に再活性化を遂げている製品市場に迫ることが何よりも求められる。 本研究では、製品市場の再活性化という、逆境を好機に変える上で、様々な企業が連動するのではないかと考えている。それはなぜか。現時点では、連動を通して、他社よりも先んじようとする努力が、その企業自身を鍛えるとともに、その努力の成果が他の企業群にも同時影響を及ぼすのではないかと考えている。
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