2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション論的アプローチによる消費者行動とマーケティングにかんする研究
Project/Area Number |
16730220
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
阿部 勘一 淑徳大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (30337696)
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Keywords | カルチュラル・スタディ / コミュニケーション / 消費者行動 / 消費文化 / 記号論 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の基礎となるコミュニケーションという枠組みを消費者行動のモデルへの適応させていくための準備段階として、主として記号論、メディア論にかんする文献をサーベイし、それぞれの理論について検討した。 コミュニケーションにかんする理論では、従来の消費者行動にも見られるような「送り手→受け手」という図式に基づいた理論が目立つ中、記号論やそれをベースにしたカルチュラル・スタディなどにおいて、送り手と受け手双方のやり取りの中で、意味や価値そして社会的なモデルが形成されるという考え方が見られ、このような考え方が現代のコミュニケーション論やメディア論においても重要な役割を果たしてきている。 コトラーの「顧客の声を聞く」という現在のマーケティングの基礎となる考え方はもちろん重要であるが、消費者の声自体が、消費者という「塊」の中で再帰的に構築されているといえる。また、消費者同士のコミュニケーションもさることながら、マスメディアを媒介にした生産者とのコミュニケーションという要素も加わることになる。しかし、マスメディア、とりわけ消費者行動に関連する広告の理論は、この点に関してはほとんど触れられることがなく、しかも実用的ではないとして排除する傾向があった。本研究では、この点について批判的な検討を加え、広告表現やクリエイティビティについて、カルチュラル・スタディの観点から再検討する必要があることを明らかにした。 また、本研究を開始してから、特に「コンテンツビジネス」をケースとするマーケティング研究の成果が少しずつ出始め、これらの研究が本研究と密接にかかわることから、これらの研究成果をさらに検討し本研究に生かすことが今後求められる。 以上の点を踏まえ、今後の研究として、文化の創造性という観点から、消費者行動との関係性をさぐり、文化の担い手である生産者の消費者像、社会像という点について調査を行いたい。
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