2004 Fiscal Year Annual Research Report
経営者の会計情報開示に対するコーポレート・ガバナンス・システムの影響に関する研究
Project/Area Number |
16730230
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
奥本 英樹 国立大学法人福島大学, 経済経営学類, 助教授 (50277753)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 会計情報 / フロンティア・コスト関数 / 情報開示インセンティブ |
Research Abstract |
本研究は,経営者の会計情報開示インセンティブに対して,コーポレート・ガバナンス・システムがどのような影響を及ぼしているかについて,実証的に解明することを目的としている.本目的のため,平成16年度では以下の研究を行った. 平成16年度では,本研究の目的をなすための予備的研究としてコーポレート・ガバナンス・システムが企業の経営効率性に影響を与えうるかについて,日米の地方銀行業を取り上げながら研究を行った.ここでは日米各銀行のコスト効率性についてフロンティア・コスト関数を推計することにより,コスト効率性を可視化した.そしてそれらの値とコーポレート・ガバナンス・システムの代理変数と考えられる変数との関連を検証した.この結果,コーポレート・ガバナンス・システムは,地方銀行の業績に影響を与えうることが示唆された.しかしながら,当該研究では,コーポレート・ガバナンス・システムの代理変数と考えられる変数の吟味においてやや不足と考えられる部分があり,現在のところ研究を継続している状況である.とりわけ平成16年度中に行った日本銀行および東邦銀行におけるインタビューでは,銀行のコーポレート・ガバナンス・システムに影響を与えうる要因は,銀行内外に数多く存在し,少数の代理変数によって銀行のコーポレート・ガバナンス・システムを可視化することは困難であることが明らかになった.平成17年度では,こうした点を進展させ企業業績とコーポレート・ガバナンス・システムとの関連を明らかにし,その研究を踏まえながら,本研究の主目的である経営者の会計情報開示インセンティブに与えるコーポレート・ガバナンス・システムの影響を検証する予定である. なお,平成16年度に行った予備的研究は,平成17年7月発行予定の『石塚博司先生古稀記念論文集』(白桃書房)において掲載予定である.
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