2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しいセグメント形態に対応する業績測定システムの構築に関する研究
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16730232
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 賢 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (50282439)
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Keywords | スループット / セグメント / 貢献利益 |
Research Abstract |
セグメントの業績を評価するためには,セグメントの責任単位ごとの原価の集計と利益の計算が必要である。そこでは,共通費を含んだ全部原価ではなく,部分原価の集計が必要となる。今年度は,その部分原価の集計の概念と技法についての研究を行った。方法としては内外の文献の収集と分析,国内におけるインタビュー調査である。 そこで特に,部分原価の集計と貢献利益の計算方法の一つの方向性であるスループット会計について研究した。スループットは,元々生産管理の文脈から考案されたものであるが,その形態は,従来の貢献利益の一つのヴァリエーションである。このスループットを計算するためには,様々な方法がある。大別すると二つの方法である。(1)売上高から材料費のみを控除するもの(2)売上高から完全な変動費を控除するもの,の二つである。文献レベルではどのように記述されているのかを明らかにするため,この5年間に発表された文献(論文,書籍)を収集・分類した。その分析の結果,(1)のタイプはさらに積極的に材料費のみを控除しようと考えるタイプと,実質的には材料費のみが変動費であるという消極的な観点から材料費のみを控除するタイプとに分かれることがわかった。後者のタイプは,意図としては(2)に近いものである。さらに,(2)は製品ミックスの最適組み合わせの決定等従来の貢献利益法と同じような応用がなされることがわかった。ただし,従来の貢献利益の計算では,直接労務費や変動製造間接費が考慮に入れられていたが,現代の製造環境ではそれらの原価はほぼ固定費化している。スループット会計は,この変化を利益計算に反映させているものであるといえる。 以上の分析から,スループットは貢献利益をコストビヘイビアの観点から純化したものであるという結論が得られた。
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Research Products
(1 results)