2004 Fiscal Year Annual Research Report
銀行業における繰延税金資産の特異性と回収可能性に関する研究
Project/Area Number |
16730244
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
磯貝 明 人間環境大学, 人間環境学部, 助教授 (30303580)
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Keywords | 税効果会計 / 銀行業における繰延税金資産 / 繰延税金資産の回収可能性 / BIS規制 / 自己資本比率 |
Research Abstract |
銀行業における繰延税金資産の特異性と回収可能性について研究するにあたり、本研究と他の先行研究との相違を明確にするため、まず、繰延税金資産についての先行研究の文献収集を行った。これについては、繰延税金資産の資産性や理論的問題についての先行研究も含んだ広範囲の文献収集を行った。次に、本研究では、銀行業の繰延税金資産の計上額を研究対象にしているため、わが国に税効果会計が本格的に導入された2000年3月期以降の研究に焦点をあて、税効果会計適用による繰延税金資産の実態や、銀行業における繰延税金資産の問題についての先行研究の文献収集を行った。そして、先行研究を詳細に考察し、本研究における問題提起や分析視点の独自性を明確にするように検討を行った。次に、実際の研究調査対象である銀行業のデータ収集を行った。本研究では単なる繰延税金資産の計上額を分析対象とするのみではなく、資本勘定における割合や繰延税金資産の計上根拠を考察することによってその回収可能性を検討するため、有価証券報告書を中心として注記を含めた財務諸表の収集を行った。収集対象は、2001年3月期以降の銀行業すべてのデータであり、これらをこれまでに行った研究によって分析対象とした2000年3月期の銀行業のデータに加えて実証分析を行った結果、依然として邦銀においては繰延税金資産の計上額に特異性がみられることが明らかになった。また銀行業の繰延税金資産の計上による自己資本比率の上昇も分析によって確認された。
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